■はじめに
愛媛大学農学部附属演習林は,松山市の重要な水源である石手川の現流域に位置し,北は今治市,東は東温市と隣接する急峻な山地に位置しています。標高515mから1,216mまでの変化に富んだ森林は天然林と人工林がほぼ半々となっており,全体が土砂流出防備保安林に指定されています。
面積が383haのこの実験林から約3km西には研究 ・ 教育拠点となる米野々森林研究センターがあり,年間を
通して試験研究や学生実習に利用されています。研究センターには講義室・実験室・図書室・工作棟 ・ 炭窯などの
施設のほか,炊事場 ・ 浴室 ・ 洗濯室 ・ 宿泊室が整備されており,最大で約50名の宿泊が可能です。
松山市中心部から約30分という利便性を生かして,学内における各種の研究・教育活動はもちろん,他大学・高校との連携授業や公開講座等を通して,広く地域と社会に研究成果を還元し,また自然豊かなフィールドを提供しています。
■沿革
米野々森林研究センター
米野々森林研究センターは,実験林と研究 ・ 管理棟から構成されている。
- 昭和25年12月(1950年) 県立松山農科大学附属演習林
- 昭和32年 9月(1957年) 国立移管に伴い愛媛大学農学部附属演習林
- 昭和56年 6月(1981年) 研究・管理棟964㎡新築
- 昭和59年 4月(1984年) 演習林規程の改正により,米野々森林研究センターと名称を変更
- 平成 6年 4月(1994年) 技術室設置
■職員構成
教 員 | 演習林長(1名) 兼任教員(10名) |
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技術職員 | 米野々森林研究センター(技術室森林技術班 4名) |
事務職員 | 農学部事務課(演習林担当 2名) |
■所在地 ・ 面積
敷地 2,272㎡
■研究・管理棟
〒791-0134 松山市大井野町乙145-2
建物 964㎡
■実験林
〒790-0135 松山市米野町乙184-1
383.66ha
■東野試験地
〒790-0903 松山市東野4丁目乙222-1
敷地 4,751㎡
■概況
米野々森林研究センター
(1)位置
研究・管理棟は松山市大井野町に所在し,農学部より北東約18kmの地点にあります。
実験林は研究 ・ 管理棟よりさらに
東~南東約3kmの北緯33°53’25”~33°55’26”,東経132°54’29”~132°55’49”
の範囲に所在しています。当センターまでは,最寄りの私鉄松山市駅からバスを利用することができます。
(2)地況
実験林は,高縄山塊西側斜面に位置し,海抜515~1,216mにおよぶ山林です。一般的に尾根筋は傾斜が緩やかですが,谷筋の近くでは急傾斜が多くなっています。基岩のほとんどが領家型の花崗岩であり,花崗閃緑岩と黒雲母花崗岩に区分され,土壌は褐色森林土で全般的に砂質および砂質壌土ですが,部分的に急傾斜地においては石礫土,比較的平坦地においては埴壌土および埴土が見られます。平均気温は12.6度,最高気温(極)36.0℃,最低気温(極)-8.1℃,年降水量1,822mmです。積雪は1月~2月に見られ,10~20cm程度です。
(3)林況実験林を気候帯から見ると,温暖帯上部から冷温帯中部の間に広がっていて,実験林帯もこれに対応する樹種,群落から構成されています。温暖帯常緑広葉樹林帯の領域は,標高700mまでですが,この領域は現在,大部分がスギ,ヒノキの造林地となっており,本来極相林として発達すべき常緑広葉樹林はみられません。
温暖帯落葉広葉樹林帯の領域は,標高700~1,000m位までです。この領域の尾根筋には,ツガを主とするアカマツ,ゴヨウマツ,ヒノキ林が発達しています。モミ林も多く,クリ,ミズナラ,アカシデ等の落葉広葉樹林も山腹丸尾根に発達しています。常緑広葉樹では,ヤブツバキ,シロダモ,ソヨゴ,シキミなどがみられます。冷温帯落葉広葉樹林帯は,1,000~1,216mまでであり,この領域はブナ林で代表されています。他には,ミズナラ,コハウチワカエデ,トサノミツバツツジなどがみられます。
■機構
■森林利用区分図
・複層林施業実験区域 377,500㎡
・短伐期施業実験区域 444,100㎡
・長伐期施業実験区域 1,153,200㎡
・実験予備区域 127,900㎡
・針葉樹天然生林実験区域 17,200㎡
・針広混交天然生林実験区域 689,100㎡
・広葉樹天然生林実験区域 578,000㎡
・水土保全実験区域 449,600㎡